2000「公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」
実施状況とりまとめ
2000「公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」
実施状況とりまとめ
「公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」
実施状況とりまとめ
平成12年9月
建 設 省
1 はじめに
建設省の公共工事コスト縮減対策については、これまで、平成9年4月に策定された政府の「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」(以下「行動指針」という。)及びこれを踏まえた建設省の「公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」(以下「行動計画」という。)に基づき、着実にその実施を図ってきたところである。
行動計画は、政府の行動指針を踏まえ各省庁ごとに策定する行動計画の一つとして建設省が策定したものであり、政府の行動指針を踏まえ、より具体化する形で作成している。
行動指針においては、「実施状況を関係閣僚会議において定期的にフォローアップし、結果を公表する」こととされている。このため、平成9年度及び10年度の公共工事コスト縮減の結果を、それぞれ翌年度の始めに公表してきたところであるが、平成11年度は3年間の取り組みの最終年度となっており、今般、平成9年度から11年度の3年間の取り組みの実施状況についてとりまとめを行うとともに、今後の課題についても整理を行った。
2 行動指針・行動計画策定の背景と目的
(1)行動指針・行動計画策定の背景と行動指針・行動計画の特徴
政府においては、平成9年1月に全閣僚を構成員とする「公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議」(以下「関係閣僚会議」という。)を設置し、約3ヶ月の精力的な検討を経て、同年4月に行動指針が策定された。建設省では行動指針策定を踏まえ、平成6年12月策定の「公共工事の建設費の縮減に関する行動計画」を改定し、内容をさらに充実させた行動計画を策定した。
これらは、「現下の厳しい財政事情の下、限られた財源を有効に活用し、効率的な公共事業の執行を通じて、社会資本整備を着実に進め、本格的な高齢化社会の到来に備えるには、早急に有効な諸施策を実施し、公共工事コストの一層の縮減を推進していく必要がある」との認識に基づき策定されたものであり、平成9年度から11年度の3年間という期間を通じて、地方、民間の主体的取り組みを含めて、各省庁が一致協力して総合的にこの課題に取り組んでいくものである。
内容としては、公共工事の計画・設計段階から施工段階までの執行システムを総点検するとともに、コスト縮減のための広範囲かつ具体的な施策を盛り込むもとのなっており、我が国の公共工事コスト構造の改革を先導する施策のパッケージとなっている。また、コスト縮減に当たっては、社会資本が備えるべき機能・品質を確保しつつ進めることとしており、さらにコスト縮減の裏付けなしに工事価格のみを下げることにより、下請企業等へ不当なしわ寄せを生起させてはならないこととしている。
(2)数値目標
行動指針・行動計画においては、平成9年度から11年度までの3年間に所要の施策を実施し、その効果により、直接的施策※1で6%、間接的施策※2で4%(努力目標)以上縮減するという目標が示されており、さらにこれを踏まえ、具体的施策について、公共工事の計画から施工に至る4分野に対応して、以下のような数値目標が定められている。
※1:直接的施策
公共工事担当省庁等が実施し、対象工事に直接的に縮減効果が現れる施策で、新しい技術を反映した技術基準の改定、工事ごとの新しい技術の採用の検討、新しい技術の開発や民間のコスト縮減提案を受け付ける入札・契約制度の導入等の施策
※2:間接的施策
公共工事担当省庁等に加え、公共工事を発注しない関係協力省庁も含めて実施する施策で、工事に関する手続の改善、規制改革等により、間接的に、工事に使用する資材や機械についての価格等に縮減効果が現れる施策
行動計画における公共工事コスト縮減の数値目標
施 策 分 野
数 値 目 標
1)工事の計画・設計等の見直し
公共工事コストを少なくとも6%以
上縮減することを目途に各省庁の行
動計画に定める
2)工事発注の効率化
3)工事構成要素のコスト縮減
公共工事コストを少なくとも4%以
上縮減することを目指す
(努力目標:行動指針より引用)
4)工事実施段階での合理化・規制
緩和等
注1)平成8年度の標準的な公共工事コストに対しての比率を示す。
注2)物価変動要因は除いて推計している。
(3)経緯
行動計画策定後、建設省では、他省庁とも連携しつつ、組織を挙げてコスト縮減のための諸施策について積極的な取り組みを行ってきた。行動計画の実施状況は公共工事コスト縮減に関する行動計画フォローアップ委員会(委員長:建設事務次官)においてフォローアップを行ってきた。また、政府全体として関係閣僚会議に設置された幹事会(各省庁局長級で構成)、フォローアップ作業部会(各省庁課長級で構成)において、コスト縮減効果等のとりまとめを行い、関係閣僚会議に報告、公表を行ってきたところである。
なお、行動指針・行動計画策定及びフォローアップに係る具体的な経緯は以下のとおりである。
(建設省単独の取り組み)
平成6年12月 建設省は公共工事の建設費縮減に関する行動計画を策定
(政府を挙げた取り組み)
平成9年1月17日 公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議設置を閣議了解
平成9年1月21日 関係閣僚会議
平成9年4月4日 関係閣僚会議開催、行動指針を策定
~行動指針を踏まえ、建設省を始め16省庁が行動計画を策定
平成9年7月まで 建設省8地方建設局・9公団等が行動計画を策定
平成10年4月21日 関係閣僚会議幹事会
平成10年4月24日 関係閣僚会議
平成10年4月24日 平成9年度の取り組みの成果を公表
平成11年4月22日 関係閣僚会議幹事会
平成11年4月27日 平成10年度の取り組みの成果を公表
平成12年8月30日 関係閣僚会議幹事会
平成12年9月1日 平成9~11年度の取り組みの成果を公表
3 行動指針・行動計画に登録された諸施策の進捗状況
(1)施策の進捗状況及び定着状況
行動指針・行動計画においては、コスト縮減のための19施策が示されているほか、それらに対応して各年度に取り組むべき具体的施策項目が別添資料において登録されている。
平成9年度から11年度の3年間で、行動指針に登録された19施策、148項目、行動指針の各施策をさらに具体化し行動計画に登録された165項目について、他省庁と連携しつつ実施し、当初に予定したすべての施策について着手し、約80%を完了した。
また、実施した施策の約50%については、基準の改定、施策の制度化等により、施策の定着が図られた。
政府全体の施策の進捗状況及び定着状況
平成9年度
平成10年度
平成11年度
進捗率※3
定着率※4
直接的施策実施項目
間接的施策実施項目
60項目
54項
81項目
56項目
88項目
60項目
87%
76%
60%
46%
全 体
114項目
137項目
148項目
82%
54%
建設省の施策の進捗状況及び定着状況
平成9年度
平成10年度
平成11年度
進捗率※3
定着率※4
直接的施策実施項目
間接的施策実施項目
107項目
52項目
110項目
52項目
113項目
52項目
84%
75%
50%
44%
全 体
159項目
162項目
165項目
81%
48%
直接的施策を適用した工事の割合
(建設省直轄工事)
41%
56%
69%
※3 進捗率:当初に予定した施策のうち、平成11年度末までに完了した施策項目の割合
※4 定着率:平成11年度末までに制度化等が完了し、定着が図られた施策項目の割合
公共工事コスト縮減対策に関する行動指針の関係省庁一覧(総括表)
省庁名
具体的施策
総理府
法務省
外務省
大蔵省
文部省
厚生省
農林水産省
通商産業省
運輸省
郵政省
労働省
建設省
自治省
警察庁
北海道開発庁
防衛施設庁
経済企画庁
科学技術庁
環境庁
沖縄開発庁
国土庁
①計画手法の見直し
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
②技術基準等の見直し
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
③設計方法の見直し
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
④技術開発の推進
◎
◎
◎
◎
◎
○
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◎
◎
◎
◎
◎
◎
⑤積算の合理化
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
⑥公共工事の平準化の推進
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
⑦適切な発注ロットの設定
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
⑧入札・契約制度検討
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
⑨諸手続の電子化等
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
⑩資材の生産・流通の合理化・効率化
○
◎○
◎
◎
⑪資材調達のための諸環境の整備
◎
○
◎
◎
◎
○
◎
◎
◎
◎
◎
◎
⑫優良な労働力の確保
○
◎
◎
○
◎
⑬建設機械の有効利用
○
◎
○
○
◎
◎
⑭労働安全対策
◎
◎
◎
○
◎
◎
◎
⑮交通安全対策
◎
○
○
◎
○
◎
◎
◎
⑯環境対策
◎
◎
○
⑰建設副産物対策
◎
◎
◎
○
◎
○
◎
◎
◎
◎
◎
◎
⑱埋蔵文化財調査
○
◎
◎
◎
◎
◎
⑲消防基準、建築基準等
【凡例】◎ 行動指針に公共工事担当省庁として登録され、施策を実施。
○行動指針に関係協力省庁として登録され、施策を実施。
(2)具体的施策の実施概要
1)工事の計画・設計等の見直しに関する施策
①計画手法の見直し
社会資本整備にあたって、必要以上に華美や過大なものとなっていないか、適切なサービス水準となっているか等の視点で検討し、周辺の他事業と連携した工事、既存施設を有効利用した工事がなされた。
②技術基準等見直し
技術基準等が急速な科学技術の進歩に対応できているか、基準類の運用が画一的なために不経済な設計となっていないか等の視点に基づき、所管する技術基準の総点検を行い、必要に応じて改定を行った。
③設計方法の見直し
設計VEやコスト縮減提案書など設計の初期段階において、構造形式や施工方法等を組織全体で多角的に検討する体制を構築し、コスト縮減の観点から当該工事に最適な設計の採用を図った。
従前の使用資材を最小とする設計思想から施工手間を含め総合価格で最小となる設計思想への転換(材料ミニマムから労働量ミニマムへ)をベースに、設計手法を改定した。
④技術開発の推進
官民や各省庁の連携による技術開発を逐次実施した。また、民間において開発された新技術を積極的に活用するため、コスト縮減に有効な新技術を活用したパイロット工事等を実施した。
⑤積算の合理化
公共工事の市場実態の的確な反映、契約条件の明確化と技術競争の促進、積算業務の効率化等を目指して、市場単価方式の活用、積算基準の公表、積算システムの整備等が進展した。また、各省の積算基準の整合化を進めた。
2)工事発注の効率化等に関する施策
⑥公共工事の平準化の推進
単年度工事の計画的早期発注、補助事業を含めてのゼロ国債等の積極的な活用、工期や竣工時期の改善により、年度を通じての事業量の平準化を推進した。
⑦適切な発注ロットの設定
中小建設業者の上位ランク工事への参入機会の拡大など、中小企業の受注機会を確保しつつ、発注ロットを拡大した。また、事業箇所の重点化も図った。
⑧入札・契約制度検討
技術による競争を促し、民間の技術力を活用するため、技術提案を受け付ける入札・契約方式などを導入し、実施した。
⑨諸手続の電子化等
電子データの受発信体制が構築され、設計・積算・工事や経営事項審査情報の電子化・データ化が進展した。
3)工事構成要素のコスト縮減に関する施策
⑩資材の生産・流通の合理化・効率化
セメント・生コンクリート等における商流の実態の調査に基づき関係団体に対して改善点を提案した。また、CI-NET等において建設産業におけるデータ交換の標準化を行い、これを活用しての資材調達の効率化が進展した。
⑪資材調達のための諸環境の整備
海外資材に関して、価格情報の提供、コンタクトポイント(相談窓口)の設定、品質審査証明事業、活用モデル工事の実施により、低価格の海外資材やデザインに優れた海外資材の活用とそのための環境を整備した。
セメント、コンクリート二次製品などについて、使用実態を踏まえこれらの標準化、統一化を行った。
建築工事において、仕様書を標準化し、資機材の仕様を整理・統合した。
⑫優良な労働力の確保
「多能工」等の育成のための業種横断的訓練校の設立や「基幹技能者」育成事業への支援、若年者等を対象とした「建設労働体験セミナー」等の総合的人材確保対策等を通じ、優れた働き手を確保した。
⑬建設機械の有効利用
建設機械部品の互換性確保のための標準化や規制改革を実施した。また、主要な建設機械の使用の合理化等、使用状況の変化を積算にも的確に反映した。
建設業界にあっては、リースレンタル市場の発達、汎用機械の活用、自動化等、機械使用の合理化や安全対策の向上等の努力が図られている。
4)工事実施段階での合理化・規制緩和等に関する施策
⑭労働安全対策
事業者に対し、労働者の安全教育、資格取得等に関する支援及び助成並びに安全衛生情報システムによる情報提供等を行い、安全対策の一層の効率化を図った。
⑮交通安全対策
路上工事を集中的に行うことにより工期を短縮し、道路渋滞時間を低減させた。
事業者への許可申請手続の周知徹底を図った。
⑯環境対策
低騒音型建設機械に指定されたバックホウ、トラクタショベル、ブルドーザについては、騒音規制法に基づく特定建設作業に係る市町村長への届出を不要とした。
⑰建設副産物対策
建設副産物対策のためのリサイクルガイドラインの作成、各種公共工事間での建設副産物の利用を促進するための国レベル・地方レベルでの連絡協議会や情報交換システムの構築、建設副産物の発生抑制技術や再利用技術の開発等により、リサイクル率を向上しながら処分費・材料購入費の縮減を図った。
⑱埋蔵文化財調査
公共工事部局と文化財保護部局との連絡調整体制の強化や新技術の導入により、発掘調査期間が短縮した。また、発掘調査基準の明確化により調査範囲の縮小を図った。
⑲消防基準、建築基準等
建築基準法について、新技術、新工法を円滑に導入するために性能規定に改正したほか、計画通知(確認申請)手続の迅速化等のための改正を行った。
消防法における届出等の簡略化等及び排煙設備についての建築基準法との整合を図ったほか、新技術への対応を進めた。
電気事業法及びガス事業法に基づく手続等の合理化方策を講じた。
なお、個別施策の進捗状況、実施内容等については、資料-1、資料-2及 び資料-3に整理した。
4 公共工事コスト縮減の実績
行動指針最終年度である平成11年度のコスト縮減実績は、建設省・関係公団等で9.8%、政府全体(全省庁・全公団等)で9.6%となった。今後、施策効果の拡大が期待されることから、3年間の施策の効果により、公共工事コストを少なくとも10%以上縮減することを目指すという目標は、概ね達成された。
このうち、直接的施策については、数値目標である6%を超え7.7%となった。また、間接的施策については、施策の実施から効果発現に至るまでに時間を要することもあり、数値目標である4%を下回る2.1%となった(実績の算定方法については資料-4、建設省(事業別)・関係公団別、各省庁別、公団等別のコスト縮減率については13頁~15頁参照)。
諸施策の効果についてみてみると、設計方法の見直し、技術開発の推進、技術基準等の見直し、計画手法の見直しで約6%の縮減効果が得られており、計画・設計の段階での取り組みの占める割合が大きくなっている(17頁~18頁参照)。
建設省・関係公団等の平成11年度のコスト縮減実績
平成11年度縮減率 平成11年度縮減額 目標値
直接的施策 7.7% 4,102億円 6%以上
間接的施策 2.1% 1,096億円 4%以上(努力目標)
合 計 9.8% 5,198億円 10%以上
全省庁等の平成11年度のコスト縮減実績
平成11年度縮減率 平成11年度縮減額 目標値
直接的施策 7.6% 6,080億円 6%以上
間接的施策 2.0% 1,597億円 4%以上(努力目標)
合 計 9.6% 7,677億円 10%以上
縮減額については、行動指針の本来の目的に準拠し、社会資本整備推進に充当されており、公共事業全体の進捗への貢献が図られている。
また、建設工事における日米の内外価格差について、購買力平価で比較すると、平成5年も平成10年も日米の建設コストはほぼ同程度となっている。為替レート換算で平成5年時点で米国に対し約3割高と言われた内外価格差は、平成10年の段階でほとんどなくなっている。なお、平成11年度の為替レート1ドル=114円の下で比較してみても、為替レートの変動分以上にコスト格差は減少している。
5 行動指針・行動計画に対する各方面からの意見・提案
コスト縮減に取り組んできた地方建設局、公団等、地方公共団体、建設業界、一般国民から公共工事コスト縮減対策に関する意見聴取等を行ってきた。
公共工事コスト縮減対策については、施策効果を認める肯定的意見がある一方、厳しい経済情勢を背景に施策の弊害を指摘する意見もある。
主な意見について概要をまとめると次のとおりである。なお、各方面からの聴取意見等については、資料-5に整理した。
●肯定的意見
○公共工事コスト縮減施策を実施したことにより、公共工事の過程において非効率になる要因、コスト低減を図れると思われる要因について様々な改革が進んだ。
○発注機関においては、組織全体での取り組みにより、コスト縮減を内部目的化した新たな業務体系を構築し、合規性偏重から安くて良いものを提供することを重視する意識が強化され、工事1件毎に創意工夫がされるようになった。また、建設業界もコスト縮減に取り組む姿勢が強まった。
○政府全体として取り組むことにより実効性を上げることができた。
○コスト縮減には、上流部の計画・設計段階での工法等の選定の寄与が高く、この改革を進めた今回の施策は評価できる。
○公共工事のコストは決して高いものではないことをもっとアピールすべき。
●批判的意見
○「コスト縮減施策」を口実に下請け叩きや単価の無理な値切りがある、また、「歩切り」や設計変更に伴う契約変更に応じない発注者があり、疎漏工事の心配もある。
○地方中小業者のため、可能な限り分割発注をして欲しい。
○過度な分割が目立つ動きがある。
○品質、環境等に配慮し、ライフサイクルコストなどを含めたトータルなコストで考えるべき。
○品質の良い社会資本を適正なコストで買うことが発注者の役割。
○開発当初は高くてもコスト縮減に結びつく技術を試すことをしないと次の発展がない。
6 これまでの取り組みの成果を踏まえた今後の課題
(1)これまでの取り組みの成果
平成9年度から11年度の3年間に、公共工事コスト縮減のための諸施策を政府全体で総合的に取り組んできたことにより、以下のような成果が得られた。
① 政府の取り組み体制の整備
各省庁等が連携し、一致協力してコスト縮減に積極的に取り組む体制が構築され、幅広い施策が実施された。
② 関係者の創意工夫の強化
コスト縮減施策の浸透に伴い、各省庁等の公共工事担当職員などの関係者においても、「より安くて良いモノ」を提供することを重視して創意工夫する姿勢が強化されるなど、意識の改革が進んだ。
③ 公共工事執行システムの改革
工事の計画・設計等の見直し、工事発注の効率化等、資材、建設機械等の工事構成要素のコスト縮減、工事実施段階での合理化・規制改革等の公共工事執行システムの中で価格に影響を及ぼす様々な要因について改革が進んだ。
(2)今後の課題
以上のような取り組みの成果、さらに国民からの意見も踏まえ、今後に向けての課題を以下のようにとりまとめた。
① コスト縮減のための取り組みの継続
平成9年度から11年度までの3年間の公共工事コスト縮減対策により一定の成果を上げてきたが、なお一層の定着を図るべき課題や新たに取り組むべき課題もあることから、今後とも全省庁を挙げて幅広く実効性のある具体的施策の推進を継続していくことが必要である。
これまでの取り組みでは、計画・設計手法の見直し、新技術の活用等により、大きな縮減効果が得られた。これらは、工事1件毎に関係者がコスト縮減について高い意識を持って創意工夫することにより得られたものであることから、今後ともこのような意識改革を継続するとともに、その改革の成果が定着するような仕組み作りに努める必要がある。
② 厳しい経済情勢を背景とした弊害の指摘への対応
現下の厳しい経済情勢を背景として、「コスト縮減施策」を口実に、無理な下請け叩きがある、いわゆる「歩切り」を行ったり、設計変更に伴う契約変更に応じない発注者がある、公共工事の受注者による疎漏工事が行われるおそれがある、といった指摘がある。これらは行動指針においても戒められている点であり、今後ともこのような事態を生起せしめないよう必要な措置を講じていく必要がある。
③ コスト縮減の数値目標に反映されない要素の評価
コスト縮減の数値目標は、具体的であるがゆえに国民の理解を得やすいが、これを過度に重視すると、たとえば、品質、安全の確保や環境対策といった、コスト縮減に直接結びつかない施策や金銭では計測できない施策への配慮が手薄になるおそれがある。このため、このようなコスト縮減に直接結びつかない施策についても引き続き配慮しながら、事業を進めていく必要がある。
④ 品質の向上によるコスト縮減
品質の高い施設を整備することは、結果的に当該施設の供用期間が長期化することとなり、施設の維持管理費用や更新費用を含めたコスト(ライフサイクルコスト)の低減をもたらすことになる。したがって、このような視点に立ち、整備する施設のライフサイクルコストの最小化を念頭に置いた取り組みを進めていくことが必要である。
⑤ 建設副産物対策、環境対策及び安全対策の推進
工事における建設副産物対策や環境負荷の低減、労働者や工事現場の周辺住民等の安全対策等に十分配慮していく必要がある。
⑥ 民間技術を活用した一層の技術開発の推進
新たな技術により大幅なコスト縮減を達成した工種については、来るべき技術革新のための研究開発期に移行している。このような時期には長期的にコスト縮減につながる技術開発が行われることが一層重要であることから、行政による技術開発に加え、実際の工事における優れた民間技術の積極的な採用、評価を行うとともに、民間の技術提案を受け付ける入札・契約方式の採用を一層推進していくことが重要である。また、技術基準類等の性能規定化については、民間の多様な技術を活かす観点から、今後とも推進していく必要がある。
⑦ 諸手続の電子化の推進
公共工事における諸手続の電子化は、工事の計画・設計段階から施工・維持管理段階に至るあらゆる場面での合理化を促進するものとして大きな期待が寄せられているところであるが、その推進については緒についたばかりである。このため、今後とも標準化や電子データ交換の普及、拡大に努めていく必要がある。
⑧ 規制改革、調達の改善
公共工事に関する規制改革や資機材に係る調達の円滑化については、これまでも多くの施策が講じられてきたところであるが、今後とも現在検討段階の施策や各方面からの要望事項の実現等も含め、適切に対応していく必要がある。
⑨ 公共事業全般に関する意見への対応
公共工事コスト縮減は、事業評価等を経て必要とされた事業について、コスト低減の努力をするものであるが、公共事業全般に関する一般からの意見として、不必要な公共事業はやめるべき、住民参加のシステムを作るべきなどの意見があった。これらに関しては、引き続き適切に事業評価を実施するとともに、個別の事業の実施にあたっては、説明会や公聴会、話し合いなど、様々な方法により、住民の広範な理解を得るよう努めていく必要がある。
(3)具体的施策の実施内容と今後の課題
1)工事の計画・設計等の見直しに関する施策
①計画手法の見直し
社会資本整備にあたって、必要以上に華美や過大なものとなっていないか、適切なサービス水準となっているか等の視点で検討し、周辺の他事業と連携した工事、既存施設を有効利用した工事がなされた。
<今後の課題>
異事業間での連携や既存施設の有効利用の検討は、今後も工事に当たって検討し施策の推進を図ることが必要である。特に、「必要以上に華美や過大なものとなっていないか、適切なサービス水準かなどの観点」で検討することは、工事計画立案だけでなく、設計の見直しや技術基準の見直しにおいても重要な観点であり、この意識が関係者に浸透する方策を講じていくことが必要である。
また、ライフサイクルコストを重視した計画・設計を進めることが重要である。
なお、施策の効果として計測していないが、事業箇所の重点化は着実に進んできている。
②技術基準等見直し
技術基準等が急速な科学技術の進歩に対応できているか、基準類の運用が画一的なために不経済な設計となっていないか等の視点に基づき、所管する技術基準の総点検を行い、必要に応じて改定を行った。
<今後の課題>
技術基準の見直しについては、従前より検討が進んでいたコスト縮減に寄与すると考えられる多くの方策が、今回の行動計画を契機として多数実行に移された。今後も新技術を取り入れて基準改定をすることは必要であるが、新技術により大幅なコスト縮減を達成した工種については、次の技術革新のための研究開発期に移ってきている。この時期には、長期的にコスト縮減につながる技術の開発、現場での積極的な採用と評価が一層重要になる。
今後も的確に基準類を改定するほか、新しい技術を生み出す規定方法として期待される基準類の性能規定化を進めることが必要である。
③設計方法の見直し
設計VEやコスト縮減提案書など設計の初期段階において、構造形式や施工方法等を組織全体で多角的に検討する体制を構築し、コスト縮減の観点から当該工事に最適な設計の採用を図った。
従前の使用資材を最小とする設計思想から施工手間を含め総合価格で最小となる設計思想への転換(材料ミニマムから労働量ミニマムへ)をベースに、設計手法を改定した。
<今後の課題>
コスト縮減に有効な設計手法がマニュアルなどの形で確立された。一方、コスト縮減の観点で当該現場に最適の設計を採用する取り組みとしてインハウスVE等が実施されてきた。しかし、まだ緒についたばかりであり、これらの取り組みを定着させることが必要である。
VEはコスト縮減だけでなく価値の改善を目的としている。また、VEは原設計を批判する目的でもない。基準等を尊重した原設計を出発点として現場毎の周辺条件を踏まえて衆知を集める創意工夫を体系的に実施する技法がVEである。このようなVEの考え方を尊重して、VEの一層の拡大と定着を図ることが必要である。
④技術開発の推進
官民や各省庁の連携による技術開発を逐次実施した。また、民間において開発された新技術を積極的に活用するため、コスト縮減に有効な新技術を活用したパイロット工事等を実施した。
<今後の課題>
長期的にコスト縮減につながる技術の開発、現場での積極的な採用と評価が一層重要になっている。技術開発5ヶ年計画等に沿って新たな技術開発を進めるほか、「新技術活用促進システム」の確立と機能の充実、パイロット工事の増大、新技術に関する情報の提供や情報交換体制の整備など、新技術を活用・普及するための制度を充実するとともに、民間の技術開発に対する支援制度の充実を図ることが必要である。
⑤積算の合理化
公共工事の市場実態の的確な反映、契約条件の明確化と技術競争の促進、積算業務の効率化等を目指して、市場単価方式の活用、積算基準の公表、積算システムの整備等が進展した。また、各省の積算基準の整合化を進めた。
<今後の課題>
今後は、建設CALS/ECの推進に併せて積算に必要な数量や図面の電子化の拡大を進めるほか、共通仕様書等の電子化と公開により、より多くの関係者の提案を得て迅速かつ的確に改正ができる体制を築くことが必要である。また、積算基準類の改訂は、公共工事の市場実態の変化を的確に反映するよう継続的に実施することが必要である。さらに、設計図書に施工条件を適正に明示することの徹底を図ることが必要である。
2)工事発注の効率化等に関する施策
⑥公共工事の平準化の推進
単年度工事の計画的早期発注、補助事業を含めてのゼロ国債等の積極的な活用、工期や竣工時期の改善により、年度を通じての事業量の平準化を推進した。
<今後の課題>
平準化は長期的に進んできており、今後も引き続き努力することが必要である。今後も、工事の計画的かつ迅速な発注、適切な工期の設定、ゼロ国債等国庫債務負担行為の活用等により、公共事業の平準化を積極的に推進することが必要である。なお、国に比べて年間変動量が多い自治体について、平準化への一層の取り組みを要請することが必要である。
⑦適切な発注ロットの設定
中小建設業者の上位ランク工事への参入機会の拡大など、中小企業の受注機会を確保しつつ、発注ロットを拡大した。また、事業箇所の重点化も図った。
<今後の課題>
発注ロットの設定に関しては、一般的にロットの大型化は規模の効果を期待できる。一方、分割には競争の効果が期待できる。経済状勢を反映して分離分割を求める意見も多い一方で、ロットの拡大を求める意見もあった。結果的に国・公団等はロットが拡大し、自治体の平均ロットは拡大しなかった。今後も中小建設業者等の受注機会の確保を図りつつ、適切な発注ロットの設定を推進することが必要である。
⑧入札・契約制度検討
技術による競争を促し、民間の技術力を活用するため、技術提案を受け付ける入札・契約方式などを導入し、実施した。
<今後の課題>
総合評価方式など次の新しい方式の拡大を図るとともに、さらに提案を出し易いしくみへの改善などを進めながら普及拡大を図ることが必要である。また、設計面ではプロポーザル方式を拡大することが必要である。
⑨諸手続の電子化等
電子データの受発信体制が構築され、設計・積算・工事や経営事項審査情報の電子化・データ化が進展した。
<今後の課題>
諸手続の電子化は、工事発注や管理の合理化への期待が大きいが、緒についたところであり、今後の展開への期待が大きい。今後は、建設CALS/ECアクションプログラムに沿って電子化をさらに推進することが必要である。
3)工事構成要素のコスト縮減に関する施策
⑩資材の生産・流通の合理化・効率化
セメント・生コンクリート等における商流の実態の調査に基づき関係団体に対して改善点を提案した。また、CI-NET等において建設産業におけるデータ交換の標準化を行い、これを活用しての資材調達の効率化が進展した。
<今後の課題>
流通実態調査はさらに関係省庁とも協力して支援策を講じることが必要である。また、CI-NET等の普及を図る。
⑪資材調達のための諸環境の整備
海外資材に関して、価格情報の提供、コンタクトポイント(相談窓口)の設定、品質審査証明事業、活用モデル工事の実施により、低価格の海外資材やデザインに優れた海外資材の活用とそのための環境を整備した。
セメント、コンクリート二次製品などについて、使用実態を踏まえこれらの標準化、統一化を行った。
建築工事において、仕様書を標準化し、資機材の仕様を整理・統合した。
<今後の課題>
海外資材活用の基盤が整備され、具体的に海外資材活用モデル工事が実施された。しかしながら、調達リスクがあるためか内外無差別での資材調達が一般化している状況ではない。よって、情報提供の充実や品質審査証明事業の拡充等により、廉価な海外資材を適切かつ機動的に活用する環境を今後も引き続き整備することが必要となっている。また、発注者も調達リスク負担をする形態となるモデル工事を、今後も継続することが必要である。
また、建設資材の品質管理体制の充実ならびに規格・仕様の標準化・統一化や性能規定化を図り、合理的な調達環境を整備することが必要である。
⑫優良な労働力の確保
「多能工」等の育成のための業種横断的訓練校の設立や「基幹技能者」育成事業への支援、若年者等を対象とした「建設労働体験セミナー」等の総合的人材確保対策等を通じ、優れた働き手を確保した。
<今後の課題>
直接的な縮減効果は計測できないが、基幹技能者等の優良な労働力の確保は、コスト縮減、品質確保に重要であり、施策を継続することが必要である。
⑬建設機械の有効利用
建設機械部品の互換性確保のための標準化や規制改革を実施した。また、主要な建設機械の使用の合理化等、使用状況の変化を積算にも的確に反映した。
建設業界にあっては、リースレンタル市場の発達、汎用機械の活用、自動化等、機械使用の合理化や安全対策の向上等の努力が図られている。
<今後の課題>
建設機械の有効利用をさらに進めるため、部品の互換性確保に関する規格の国際標準化やリース・レンタル市場の情報システムの活用等を図ることが必要である。
4)工事実施段階での合理化・規制緩和等に関する施策
⑭労働安全対策
事業者に対し、労働者の安全教育、資格取得等に関する支援及び助成並びに安全衛生情報システムによる情報提出等を行い、安全対策の一層の効率化を図った。
<今後の課題>
安全の確保レベルを落とすことなく労働安全対策の効率化を継続的に進めることが必要である。また、労働安全に関する基準類について、新しい技術を反映して見直すことが必要となっている。
⑮交通安全対策
路上工事を集中的に行うことにより工期を短縮し、道路渋滞時間を低減させた。
事業者への許可申請手続の周知徹底を図った。
<今後の課題>
集中工事の効果を周知し、集中工事の増加を図ることが必要である。また、許可申請手続きをさらに合理化することが必要となっている。
⑯環境対策
低騒音型建設機械に指定されたバックホウ、トラクタショベル、ブルドーザについては、騒音規制法に基づく特定建設作業に係る市町村長への届出を不要とした。
<今後の課題>
建設工事における環境負荷の低減に向けた開発技術を積極的に採用するほか、諸規制の手続との整合を図りつつ、建設機械の環境対策をさらに進めることが必要である。また、環境対策を組織的に進める手法として環境マネジメントシステムの導入などが考えられる。
⑰建設副産物対策
建設副産物対策のためのリサイクルガイドラインの作成、各種公共工事間での建設副産物の利用を促進するための国レベル・地方レベルでの連絡協議会や情報交換システムの構築、建設副産物の発生抑制技術や再利用技術の開発等により、リサイクル率を向上しながら処分費・材料購入費の縮減を図った。
<今後の課題>
引き続きリサイクル率を向上しながらコスト縮減を実現する施策の強化が必要である。また、リサイクル促進のため、再生利用技術の開発、情報交換システムの整備と活用、公共工事部門と環境部門との調整の場を設けるなどにより、対策の円滑化を図ることが必要である。
⑱埋蔵文化財調査
公共工事部局と文化財保護部局との連絡調整体制の強化や新技術の導入により、発掘調査期間が短縮した。また、発掘調査基準の明確化により調査範囲の縮小を図った。
<今後の課題>
調査期間・費用の標準化を進めるとともに、連絡調整体制を継続していくことが必要である。
⑲消防基準、建築基準等
建築基準法について、新技術、新工法を円滑に導入するために性能規定に改正したほか、計画通知(確認申請)手続の迅速化等のための改正を行った。
消防法における届出等の簡略化等及び排煙設備についての建築基準法との整合を図ったほか、新技術への対応を進めた。
電気事業法及びガス事業法に基づく手続等の合理化方策を講じた。
<今後の課題>
規制改革の要望を踏まえ対応することが必要である。
5)コスト縮減対策の普及・定着のための体制整備
政府、建設省、地方公共団体など、組織内はもとより、関係者の連携・体制を強化した。各地方建設局では、コスト縮減対策推進委員会やインハウスVE検討会等を設置するとともに、地方ブロック毎の国の出先機関や地方公共団体との連絡会議を設け、コスト縮減技術等に関する関係者との情報交換を行った。
また、コスト縮減施策について、事例集の作成や研究発表会の開催等により、普及を行った。
<今後の課題>
幅広く実効性のある具体的施策を一層普及・定着させるための方策を充実させることが必要である。
6)業務実施方法の変革
設計や工事発注前に、コスト縮減提案書の作成やチェックリストによる確認、さらには副産物対策を実施した。また、大規模工事や高度技術を要する工事については組織的にVEを実施した。
また、1人1台パソコン環境となり、ネットワークを通じた共同作業を実施するようになった。
<今後の課題>
地方公共団体も含めて、施策内容を末端まで十分浸透させる努力が必要である。
7)建設業界の変化
業界としても、コスト縮減策を検討し提案を行ってきた。また、業界内にもコスト意識が高まり官民協力してコスト縮減を行う姿勢が強まってきた。一方、コスト縮減の本旨を理解しない無理な下請叩きや「歩切り」の問題が弊害として指摘されている。このような弊害のない施策とするとともに、不良不適格業者の排除対策の徹底など、「技術と経営」に優れた企業が伸びることができる環境整備をしながら施策を進めていくことが必要である。
(参 考)
4 公共工事コスト縮減の実績
行動指針最終年度である平成11年度のコスト縮減実績は、建設省・関係公団等で**%、政府全体(全省庁・全公団等)で**%となった。今後、施策効果の拡大が期待されることから、3年間の施策の効果により、公共工事コストを少なくとも10%以上縮減することを目指すという目標は、概ね達成された。
このうち、直接的施策については、数値目標である6%を超え**%となった。また、間接的施策については、施策の実施から効果発現に至るまでに時間を要することもあり、数値目標である4%を下回る**%となった(実績の算定方法については資料-4、建設省(事業別)・関係公団別、各省庁別、公団等別のコスト縮減率については13頁~15頁参照。)。
諸施策の効果についてみてみると、設計方法の見直し、技術開発の推進、技術基準等の見直し、計画手法の見直しで約6%の縮減効果が得られており、計画・設計の段階での取り組みの占める割合が大きくなっている。
建設省・関係公団等の平成11年度のコスト縮減実績
平成11年度縮減率 平成11年度縮減額 目標値
直接的施策 **% **億円 6%以上
間接的施策 **% **億円 4%以上(努力目標)
合 計 **% **億円 10%以上
全省庁等の平成11年度のコスト縮減実績
平成11年度縮減率 平成11年度縮減額 目標値
直接的施策 **% **億円 6%以上
間接的施策 **% **億円 4%以上(努力目標)
合 計 **% **億円 10%以上
縮減額については、行動指針の本来の目的に準拠し、社会資本整備推進に充当されており、公共事業全体の進捗への貢献が図られている。
なお、建設物価については、平成9年度から11年度の3年間に施策効果としての算入分以外に約**%下落しており(16頁参照)、これも考慮すると、建設費は全体として**%程度低減したことになる。
また、建設工事における日米の内外価格差について、購買力平価で比較すると、平成5年も平成10年も日米の建設コストはほぼ同程度となっている。為替レート換算で平成5年時点で米国に対し約3割高と言われた内外価格差は、平成10年の段階でほとんどなくなっている。なお、平成11年度の為替レート1ドル=114円の下で比較してみても、為替レートの変動分以上にコスト格差は減少している。